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「エキスパート求む」と求人票に書いても“真のエキスパート”を雇えない理由 - TechTargetジャパン

 第1回「求人票で“ロックスター”を募集してはいけない納得の理由」に続く第2回となる本稿は、採用担当者が「DEI」(Diversity、Equity、Inclusion:多様性、公平性、包摂性)を踏まえた求人票を作る際の主要なポイントを紹介する。連載を通じて紹介するポイントは以下の4つだ。

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 求人票を作るときに、多様な経歴や背景を持つ志望者を集めるのにそぐわない言葉がある。特定の特性や行動を男性または女性だけに当てはめる「ジェンダーコーディング」への対処は、重要なポイントの一つだ。

 コンサルティング会社Bain & Companyで最高ダイバーシティー責任者を務めるジュリー・コフマン氏は、「企業は求人票を『脱ジェンダー化』する必要がある」と話す。具体的には、「彼」「彼女」といった言葉を求人票からなくしてしまうよう企業に勧めている。「ジェンダーが流動的な社会において、代名詞を使うのは得策ではない」とコフマン氏は言う。

 コフマン氏は、「エキスパート」という言葉も明確さを欠くため避けるべきだと指摘する。「10人のチームを率いたことがある人」をエキスパートだと考える人もいれば、「従業員1万人の企業運営を担う最高レベルの責任者」がエキスパートだと考える人もいる。

 こうした曖昧な言葉を使うのではなく、「この雑誌の仕事のために、日刊紙の記者経験が5年ある人を募集」といった具合に具体的な要件を記載することが望ましい。

 求人票の中で使う形容詞は、企業が意図しない意味合いで志望者に解釈される可能性がある。採用担当者はその点を留意することが望ましい。

 アリス氏によると、アフリカ系とラテン系の採用候補者を集めた専門職のフォーカスグループ(少人数のサンプルグループ)で、求人票に書かれた「卓越した(excellent)文章力」という言葉に懸念を抱いた参加者がいた。この参加者は首席に近い成績で大学を卒業したものの、英語の成績で「C」を取ったことがあった。そのため「この成績では、この会社には受からない」と判断してしまった。

 「卓越した」という言葉は、あらゆる形容詞と同様に漠然としており、主観的だ。企業側が考える“卓越した技能”を志望者が持っていたとしても、志望者が「自分の能力は、卓越したものではない」と考える可能性がある。

 志望者が自分の実績を表現する方法は、さまざまで幅がある。文化によっては、卓越していることを主張することは自慢と受け取られる場合もある。


 第3回は2つ目のポイントを紹介する。

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