夏本番を迎え、高校生の就職活動が本格化しつつある。これまでは膨大な紙の求人票から就職先を探すというアナログなやり方が主流だったが、インターネットで求人票を管理し、生徒がスマートフォンなどで閲覧できるシステムを導入する学校が増えている。デジタル化を通じて教員の負担も軽減され、働き方改革にもつながっている。
生徒約140人の半数ほどが就職する大阪府立大正白稜高校(大阪市大正区)では、夏休み中もほぼ毎日進路指導を行い、1日当たり約20人が通う。7月下旬、タブレット端末で企業の求人票データを確認する生徒に秋山一也教諭(37)が「好きなタイミングで求人票を探せるから、いろいろな企業を見て選択肢を広げよう」と語りかけた。
学業への影響をできるだけ抑えるため、高校生の就職活動期間は大学生に比べて短い。3年生対象の企業による学校訪問は7月1日に解禁され、学校に集まる情報をもとに企業訪問や面接の練習を重ねる。9月に選考が始まり、同月末には就職を希望する生徒の約6割が活動を終える。
大正白稜高には毎年7月以降、1000枚近い求人票が届き、定期考査終了後の同月中旬頃、生徒に公開する。ただファイルにとじられた求人票の束を前に、希望の企業を見つけ出すのは負担が大きい。
そのため、生徒が検索しやすいよう教員が求人票の一覧表をパソコンで作成するのだが、企業名や業種など一部の項目を手作業で入力し、担当教員の時間外勤務が増える要因になっていた。生徒が求人票を見たい場合も進路指導室にあるファイルか、学校のパソコンで閲覧するしかなく、企業情報にアクセスできる場所や時間が限られていた。
厚生労働省が2021年に公表した調査によると、新規高卒就職者の約4割が3年以内に離職している。企業研究が十分にできず、ミスマッチが生じているとの指摘がある。
同校が新たに導入した求人票管理システムは求人票を複合機で読み込み、インターネット上で管理。生徒はスマホなどでデータを見ながら家族と相談して就職先を検討でき、「使い慣れた端末で確認できて便利」という。
求人票の一覧表も自動で作成されるため、「時間外勤務が体感で5分の1ほどに減った」(秋山教諭)。大阪府教育庁は「働き方改革の一助になる」として、システムを運営する「スタジアム」(東京)と22年6月に協定を締結。8月1日までに府立高校8校が導入し、今後も増える見込みだ。
同社によると、学校側は無料でシステムを利用できる。運営には、学校訪問のための費用や時間を節約できる企業側が支払う広告料を充てている。21年12月からシステムの運用を始め、全国の約370校が採用している。
学校に求人票が届かない企業の情報を検索できるサービスもある。「ジンジブ」(大阪市)が運営する高校生向け就活サイト「ジョブドラフトNavi」は15年にオープン。全国の1800社近い企業の情報を確認できる。
年々利用者は増え、22年4月時点で約3万7000人が登録。企業の基本情報だけでなく、動画や写真も見ることができ、社内の雰囲気が伝わりやすいと好評だ。同社担当者は「給料や通勤時間など限られた条件で就職先を選ぶのではなく、さまざまな情報に触れて希望の企業を探し出し、ミスマッチを減らしてほしい」と話している。(木ノ下めぐみ)
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