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SNSで「好待遇」の求人に応じたら…詐欺集団に軟禁され強制労働 アジアにまたがる「巨大シンジケート」か:東京 ... - 東京新聞

タイ側から見たミャンマー南東部カイン州のシュエコッコ地区=4月、藤川大樹撮影

タイ側から見たミャンマー南東部カイン州のシュエコッコ地区=4月、藤川大樹撮影

 【北京=新貝憲弘、バンコク=藤川大樹】ミャンマー南東部などを拠点とした中国人らのネット詐欺集団が関係各国を悩ませている。ミャンマー国軍によるクーデターで混乱が続き統制が利かない状況を利用し、中国メディアなどによると、だまされて連れ出された数万人から数十万人の若者らが軟禁状態に置かれ働かされているという。ネット詐欺の被害も深刻で関係各国が取り締まりに乗り出した。

◆成果なしなら拷問、大口詐取成功なら花火

 「毎日18時間強制的に働かされていた」。中国の交流サイト(SNS)で今月、政府系学術組織「中国科学院」の博士が1年前からミャンマー南東部カイン州ミャワディで詐欺集団の通訳をさせられているとの投稿が注目を集めた。ミャワディには一時期30万人の中国人が活動しており、中国メディアによると博士はその後救出されたという。

 詐欺集団の拠点の一つが、ミャワディの市街地から北に15キロほどの場所にあり、中国系企業とミャンマー国軍傘下の国境警備隊(BGF)による開発が進むシュエコッコ地区だ。

 中国人の詐欺集団が、コンピューター技術に精通したミャンマー人をはじめ、タイやフィリピンなどから集めた人たちを軟禁状態で働かせる事例が頻発。被害者は仮想通貨投資詐欺の勧誘を強いられ、成果を上げられないと食事も給与もなく、拷問やセクハラも受けるという。

 一方、50万元(約1000万円)以上の詐欺が成功すると花火を打ち上げる場所も。詐欺集団はフェンスで囲まれた区画ごとに人やパソコンなどを集め、銃を持った監視員が巡回して区画外との連絡を禁じ「救出は困難を極める」(フィリピン上院議員)。中国では折しも、こうした詐欺集団を題材にした映画「乾坤一擲けんこんいってき(原題・孤注一擲)」が今月公開されて話題を呼んでいる。

◆周辺4カ国で協議して摘発に本腰

 中国の独立系シンクタンク「アンバウンド(安邦)」などによると、詐欺集団は数年前まではカンボジアを拠点にしていたが、公安当局の摘発を受けたことでミャンマー南東部などに移動。詐欺の対象は中国人が多かったが、最近は日本人や欧米人を対象とした詐欺行為も出てきており、フィリピン人は英語力が高いため詐欺に加担させられるケースが多いという。

 関係各国も摘発に本腰を入れ始めており、中国とミャンマー、タイ、ラオス4カ国の公安当局は今月15、16日にタイのチェンマイで対応を協議。チェンマイに総合調整センターを設置し今後の取り締まりを協力して進めることを決めた。中国メディアは専門家の話として「このような高いレベルの協力は初めてで、各国の警察当局がネット詐欺を共同で撲滅する強い覚悟を示した」と伝えている。ただ、シュエコッコの開発にはBGFが関与しており、実効性は不明だ。

  ◇

◆ミャンマーでフィリピン人被害者3人保護、母国に送還 解放条件は「金」

 【バンコク=藤川大樹】フィリピンの入国管理局は24日、ミャンマーで人身売買の被害に遭った20〜40代の男女3人が17日にタイ経由でフィリピンに送還されたと発表した。

 入管によると、女性被害者の1人は婚約者と中東のドバイで暮らしており、フェイスブックで「月収1000ドル(約15万円)、食費・宿泊費無料」という求人広告に応募。勤務先とされたタイに到着すると、ワゴン車で10時間移動した後、漁船でミャンマーへ連れて行かれ、仮想通貨投資詐欺に加担させられた。帰国するために6万バーツ(約25万円)を要求され、支払わなければならなかった。

 男性被害者はジャングルの中の閉鎖された場所に軟禁され、やはり解放に際し金を要求されたという。

 入管のタンシンコ局長は「これはアジアのいくつかの国で活動する巨大な犯罪シンジケートだ」と指摘。海外労働を希望する人たちに、オンラインでの怪しい求人に応募しないよう呼びかけた。

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