Search

10年で求人数は約24倍、採用困難なセキュリティー人材を確保するには? - ITpro

全4222文字

 サイバー攻撃の増加、その被害がビジネスに及ぼす影響の拡大を受け、企業においてサイバーセキュリティー対策の強化は喫緊の課題となっている。不足するセキュリティー人材を補うため、採用の門戸を広げる企業も多い。ITエンジニアの転職動向に詳しいリクルートの丹野俊彦氏が、過去10年の傾向を振り返りつつ、近年のセキュリティー領域における転職事情を解説する。

 企業の情報セキュリティーを担う「サイバーセキュリティー人材」の需要が急激に伸びています。リクルートの転職支援サービス「リクルートエージェント」のデータを分析したところ、2014年のサイバーセキュリティー(以下、セキュリティー)関連求人数を「1」とすると、2023年には24.3倍にも増加しています。

サイバーセキュリティー関連求人数の推移(2014年の求人数を「1」とする)

サイバーセキュリティー関連求人数の推移(2014年の求人数を「1」とする)

(出所:リクルート)

[画像のクリックで拡大表示]

 特に求人数の伸び率が大きい時期は、2018~2019年と2020年以降です。2018~2019年は東京五輪・パラリンピックを控え、サイバーテロへの警戒が高まった時期に当たります。2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけとなったリモートワークの普及に伴い、VPN機器の脆弱性を突いた攻撃が多発したことが背景にあると考えられます。

 サイバー攻撃の被害についてメディアでも相次いで報じられる中、セキュリティー強化へのニーズは右肩上がりで上昇しています。特に課題となっているのは、近年増加中の関連会社など本社以外への攻撃がサプライチェーン(供給網)全体に影響するような被害への対応です。全てのネットワーク通信を信頼しない前提でシステムをつくる「ゼロトラスト」の考え方に基づくセキュリティー対策や、生成AI(人工知能)を悪用した攻撃への備えも重要になりつつあります。今後もセキュリティー人材の求人数は増加していくと予測されます。

 しかし、採用ニーズに対するセキュリティー人材の数は大幅に不足しています。2014年と2023年を比較すると、求人数の伸びが24.3倍なのに対し、転職者数の伸びは3.62倍にとどまっています。企業にとって、セキュリティー分野の即戦力人材の採用は「レッドオーシャン中のレッドオーシャン」と言ってよいでしょう。そのため、採用対象をセキュリティー実務の未経験者にまで広げる企業も出てきています。セキュリティーに隣接するデジタル技術の知見を持つ人材をポテンシャル採用するケースです。

サイバーセキュリティー関連求人への転職者数推移(2014年の求人数を「1」とする)

サイバーセキュリティー関連求人への転職者数推移(2014年の求人数を「1」とする)

(出所:リクルート)

[画像のクリックで拡大表示]

ネットワークやアプリケーション分野からの転身も

 例えば企業ネットワークを設計・構築する際は、セキュリティーを考慮に入れるのは必須といえるでしょう。そのためネットワークエンジニアの多くはセキュリティーの重要性を理解し、ある程度セキュリティーの知見を備える人も珍しくありません。主にネットワーク構築を手掛けるシステムインテグレーター(ネットワークインテグレーター)で、プロジェクトマネジャーを担当していたAさん(30代)もその1人でした。

 Aさんはネットワークの要件定義から設計までを手がけていましたが、「これまでの経験を生かしつつ、スキルの幅を広げたい」と考えたといいます。そこで、ネットワークと親和性が高いセキュリティー領域を目指して転職活動を開始しました。

 転職先としてはセキュリティー系ベンダー、コンサルティングファームのセキュリティー担当のほか、事業会社IT部門の情報セキュリティー担当など幅広いポジションが考えられました。Aさんは様々な求人に応募して検討を重ね、最終的に外資系セキュリティーコンサルティング企業のセキュリティーコンサルタントに転職を果たしました。企業側はAさんのネットワーク技術への造詣の深さや、セキュリティー領域への興味の強さ、ポテンシャルを評価したのです。Aさんはセキュリティーの実務は未経験ながら、年収100万円以上アップで転職先企業に迎え入れられました。

 このように実務経験がない状態からセキュリティー領域への転職を目指すケースでは、私たち転職コンサルタントは、採用過程において「本気度」と「学習・資格取得への意欲」をアピールするようアドバイスしています。

 企業側は求職者が「セキュリティーに興味を持っている」だけでも期待を寄せます。「なぜセキュリティー領域を目指すのか」「セキュリティーの重要性をどう捉えているか」について面接でしっかりと語れると、好印象を持たれることが多いようです。

Adblock test (Why?)



from "求人" - Google ニュース https://ift.tt/r7y3Vhe
via IFTTT

Bagikan Berita Ini

0 Response to "10年で求人数は約24倍、採用困難なセキュリティー人材を確保するには? - ITpro"

Post a Comment

Powered by Blogger.