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日本企業の「人手不足感」解消の兆し 有効求人倍率3年ぶり低下 - 日経ビジネスオンライン

 日銀が掲げている「賃金と物価の好循環」シナリオは、人手不足が今後も続いていくことを、当然の前提にしている。

 植田和男総裁は5月8日の講演で、「賃金や物価の形成メカニズムに変化をもたらす素地となっている、労働需給の顕著な引き締まり」が重要と強調した上で、「先行きも労働需給が引き締まった状況が続くと見込まれることも踏まえますと、企業の賃金・価格設定行動の変化は次第に定着していくと考えています」とした。

 日銀は「賃金と物価の好循環」が回っていくことを受けたサービス分野の価格上昇(「第2の力」)に期待しており、これによって「物価安定の目標」である2%が持続的・安定的に達成されるだろうというシナリオを描いている。

 けれども、時間の経過とともに、人手不足への対応策をとる企業は着実に増えていくはずである。

ロボットで省力化進む現場

 厚生労働省が発表した2023年度平均の有効求人倍率は1.29倍(前年度比マイナス0.02ポイント)で、3年ぶりに低下した。この点について同省の山田雅彦職業安定局長は、人手不足対策として、人を採用する代わりに機械を導入する企業が増えた点を指摘。タッチパネル注文や配膳ロボット、セルフレジなどの拡大を挙げ、「顧客と接するのは人間とされてきた前提が崩れている」とした(5月1日付朝日新聞)。省力化目的の設備投資によって人手不足を乗り越えようとする、企業努力である。

 また、帝国データバンクは5月2日、企業向けに実施したアンケートの結果を基に、人手不足に変化の兆しが出てきたことを指摘した。4月の「人手不足に対する企業の動向調査」(調査期間:4月16~30日)によると、正社員が「不足」と感じている企業の割合は51.0%で、非正社員では30.1%。高止まりが続いているものの、不足感は前年同月のそれを下回っており、「わずかながら変化の兆しが見られる」という。

 業種別では、「飲食店」や「旅館・ホテル」でかなり高水準の人手不足感があるものの、前年同月からは大幅に低下しており、人手不足の緩和が示された。

 総務省から6月28日に発表された5月の労働力調査で、就業者数は22カ月連続で前年同月から増加した。一方、非労働力人口は27カ月連続で前年同月からマイナスになっている。労働力の「掘り起こし」によって若年層の絶対数不足を埋め合わせようとする手法は、なおしばらく有効だと考えられる。

 また、経済の構造変化や国内需要の減少傾向をにらんだ不要なジョブの整理も、徐々に進んでいくはずである。

 同日に厚労省から発表された5月の一般職業紹介状況で、有効求人倍率は1.24倍(季節調整値)になり、2カ月連続の低下。月間有効求職者数が9カ月連続で前年同月比プラスになる一方、月間有効求人数は11カ月連続でマイナスになった。後者に含まれる新規求人数は9カ月連続で前年同月から減少。

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