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ITスキル高める高専生に企業が熱視線、求人倍率は1人当たり50倍も - ITpro

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IT人材不足への切り札として、高等専門学校生への注目は高い。高専も時代の要請に応じた教育内容を意識し、若手の技術習得を支援する。日本の「現場」を支え続けた高専生は、IT分野においても即戦力として期待がかかる。

 「工学系の学科に1000を超える求人が来る」――。富山高等専門学校(高専)で教務主事を務める電子情報工学科の小熊博教授は、同校への求人についてこう明かす。1学科は40人でこのうち半数が進学するため、求人倍率は1人当たり50倍ほどになる。

 産業界を支える技術者を養成する高等教育機関として1960年代から設立された高専。製造業を中心に人材を輩出してきた。現在IT業界からの注目がかつてないほど高まっている。

 高専の多くは、毎年就職活動の時期になると学内で説明会を開催する。この説明会は企業が高専生に接触できる重要な機会だ。しかし今は、説明会の枠に入るのも一苦労だという。東証プライム上場の大手SIerの人事部長は「卒業生の採用実績などがなければ新たに入り込めない」とし、高専生の採用難度の高さを感じていると漏らす。

次世代技術やマインドを重視

 そこでIT企業をはじめとした民間企業は今、資金を出して私立の高専を設立しようとしている。2023年4月に徳島県神山町での開校を予定する「神山まるごと高専(仮称)」だ。1学年40人の5年制で、文部科学省に設立を申請中だ(2022年4月時点)。

神山まるごと高専(仮称)の建設予定地(手前)。教室や大講義室、教員用の研究室を建設中。旧神山中学校(中央)の校舎付近も敷地で、同校の校舎を改装して学生寮や職員室、図書館にする予定だ

神山まるごと高専(仮称)の建設予定地(手前)。教室や大講義室、教員用の研究室を建設中。旧神山中学校(中央)の校舎付近も敷地で、同校の校舎を改装して学生寮や職員室、図書館にする予定だ

(撮影:日経コンピュータ)

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 同校は名刺管理サービスSansan(サンサン)創業者の寺田親弘社長が発起人となり「モノをつくる力で、コトを起こす人」というコンセプトのもと、テクノロジー、デザイン、起業家精神という3つの領域に関する知識や意識を持ち合わせた人材の育成を目指す。

 そのための方法として、授業やカリキュラムにこの3つの視点を横断的に反映する。例えば、一般科目の1つである体育では、サッカーの授業でGPS(全地球測位システム)対応デバイスを付け、自分の動きを可視化・分析する。また起業の観点から、新しいスポーツを考案する授業も予定する。数学の授業にはアルゴリズム構築を前提とした内容を盛り込んだり、国語の授業にプレゼンテーションを課したりするなどの様々な仕掛けを用意する。

 専門科目ではプログラミングや電子回路、セキュリティーなどの情報工学分野、WebデザインやUI/UXなどのデザイン分野、アントレプレナーシップ概論などの起業分野を学ぶ。

 同校の事務局長就任を予定する松坂孝紀氏は専門科目の授業内容について「現実のビジネスに近い課題を取り扱う」と話す。例えば「Webデザイン」の授業では徳島県内の企業などと連携し、実店舗のWebサイトを構築する。実践的な課題を意識した内容を想定している。

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