給与の支給日を待たずに、前倒しで一部を受け取れる「給与前払いサービス」を導入する企業が増えている。急な出費への備えなど「柔軟に給与を受け取りたい」という従業員のニーズが高まっており、新たな人材の獲得や従業員の定着率アップにつなげる狙いがある。(山口登史)
◆脱「月イチ」、ファミマなど先月導入
コンビニ大手ファミリーマートは8月、加盟店スタッフ向けに給与の一部を前払いする「プリポケ」の活用を始めた。全国約1万6000店の加盟店(一部除く)で順次、導入する。
人手不足に悩む加盟店の支援策として、伊藤忠商事の子会社マネーコミュニケーションズ(港区)のサービスを利用。「月に1度の給料日に賃金を受け取るサイクルが、必ずしもライフスタイルに適合しなくなっている」と説明する。
勤務実績に基づく「前払い可能額」を専用アプリに表示し、その範囲内で指定口座に入金する。利用手数料は申請額の1.5%分で、振込手数料も必要。担当者は「働き方が多様になる中、前払いサービスの導入で、従業員の定着率向上につなげたい」と話す。
◆支給額は実際に働いた分の範囲内
給与の前払いサービスは「前借り」と異なり、従業員が実際に働いた分だけ、月イチの支給日を待たずに受け取れる仕組みだ。福利厚生などのニーズの広がりとともに、サービスの提供会社も増えている。
「前給」と銘打ち、きらぼし銀行のグループ会社、きらぼしテック(港区)は2005年に前払いサービスの提供を始めた。すかいらーくグループ、日本マクドナルドなど約900社が導入しているという。前払いの上限の目安は正社員が月5万円、時給のアルバイトなどは申請日までの合計額の半分。現金だけでなく、電子マネー「ララPay」で支給する仕組みもある。
きらぼしテックによると、大手飲食チェーンでは「前給」サービスを利用できる店舗の方が、利用できない店舗よりも10%程度、従業員の定着率が高かった。利用者は貯蓄が少ない若年層や子育て世代が多く、「冠婚葬祭などの急な出費に対応できる」と評価。導入企業からも「求人への応募者が増えた」などの声が寄せられているという。
◆「計画的な利用を心掛けて」
ただ、給与の総額が増えるわけではない。東京都消費生活総合センターの高村淳子さんは「前払いに慣れた人が多重債務に陥ってしまう懸念もある。計画的な利用を心掛けて」と注意を呼びかけている。
関連キーワード
おすすめ情報
from "求人" - Google ニュース https://ift.tt/Gao0D4y
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "給料日まで待てない、広がる「前払いサービス」 従業員の定着アップや求人応募増に効果 - 東京新聞"
Post a Comment