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#北森カレッジ4年目 #卒業生、現場で奮闘中 林業即戦力に求人5倍:北海道新聞デジタル - 北海道新聞

 道内唯一の林業・木材産業専門学校「北海道立北の森づくり専門学院」が、旭川市内で開校し3年が過ぎた。就職を希望した1期生30人は昨春から、道内各地の木材会社や森林組合などに入って奮闘中。今春卒業の2期生も就職希望の32人全員が就職している。林業従事者の高齢化と人手不足が叫ばれる中、同学院で知識や技術を身につけた卒業生は引く手あまた。就職希望の1、2期生に対する求人倍率は5倍を超えた。

 同学院では、林業先進国のフィンランドの教育カリキュラムを導入。講義と道内各地をフィールドとした実習を通じ、林業の経験や知識が全くなくても修学期間の2年で就業に必要な資格を取得し、現場の即戦力として活躍できる人材を育成している。1期生を対象に2021年春に行われた合同企業説明会には48社が参加。2期生が対象の昨春の説明会は59社に増え、いずれも求人数は計160人以上に達した。

 3期生39人の卒業を見越した今年3月の説明会参加企業は74社にまで増えた。求人数は4月末現在で既に180人ほど。「生徒ができるだけ多くの企業ブースを回れるように、説明会に来てもらう企業を午前と午後に振り分けた」(同学院教務課)という人気ぶりだ。

 同学院に集まる生徒の7割は道内出身だが、首都圏や関西圏のほか、遠く九州などから入学する生徒もいる。女性の比率は例年1~2割。卒業後は大半が道内で就職しているという。土屋禎治学院長は「先進的な情報通信技術(ICT)の活用や機械化にも対応した教育を通じ、林業が安全、効率的で成長産業と呼ばれる仕事となるよう取り組んでいる」と述べ、同学院が優秀な林業者を生み出す意義を強調している。

 同学院は27日から来年3月まで6回の学院説明会を予定。7、9月にはオープンキャンパスも開催する。(福元久幸)

<ことば>道立北の森づくり専門学院 旭川市西神楽で2020年4月に開校した2年制の林業専修学校。略称は北森カレッジで定員は1学年40人。年間授業料16万3200円のほか、資格取得や教材など2年間の経費が85万円ほどかかる。出願資格は入学時40歳以下など。

 苫小牧市のイワクラ林材事業部で働く札幌市生まれ横浜市育ちの鎌田和希さん(26)と、芦別市役所に入った十勝管内足寄町出身の川島昂也(こうや)さん(26)は共に1期生。第一線で経験を積みながら貴重な戦力となっている2人に、林業を志した経緯や、仕事への思いなどを聞いた。

■作業道の選定にやりがい イワクラ・鎌田和希さん(26)

 祖父が、オホーツク管内置戸町で林業に携わっていました。私が信州大学農学部の森林経営学の研究室で学んだのも、子供の頃から林業に関心があったから。母は置戸、父が札幌出身で両親とも道産子なので、北森カレッジ入学前に何度も北海道に来ていました。

 今は、落札した国有林の木々を伐採する造材の仕事をしています。現場は恵庭市や日高管内平取町など、苫小牧を中心とした道央圏。監督に当たる現場代理人の指示を受けて作業員が伐採を進めます。私は現場代理人の補助といった立場です。

 山の中を踏査して切るべき木を選んだり、林道から森へ入っていく作業道のコースを選定したりします。丸太の長さや太さを測る検知、伐採した木を運ぶ重機の運転もあります。作業道選定は、その結果次第で作業効率が良くも悪くもなる難しい仕事です。将来、一人で踏査するようになって、自分の選定した線が作業しやすい道となれば、仕事が面白くなり、やりがいもあると思う。

 私は大学卒業と同時に北森カレッジに入学しました。大学でもさまざまな実習がありますが、やはり理論を学ぶことが多い。卒業生も公務員や研究者になる人が少なくありません。大学を出て就職しないことに申し訳ない気持ちもありましたが、カレッジで何が得られるか考えてみたんです。林業者として必要な多くの資格が取得できるし、北海道の林業を体験できる。何より1期生のOBとして道内に林業仲間の輪を広げることができるのが魅力でした。

 全道の若手林業者がやりがいをもって、前向きに働けるようにと企業の枠や地域を越えて交流し、情報交換できるサイト「森の魅力発信し隊」にも参加して横のつながりを強めています。事務局の道林業木材課の方々とも知り合うことができました。今は、こうした全道の林業仲間からの発信を参考にしながら、早く一通りの作業をできるようになりたい。いずれは作業員に的確な指示をし、現場全体を把握できる現場代理人になりたい。

■先進機械で働き方変わる 芦別市役所・川島昂也さん(26)

 札幌の高校から明治学院大学社会学部に進みましたが、特に学びたいこと、やりたいことが見つけられずに中退しました。幼少期から柔道と相撲で体を鍛え、体を動かすのが好きだったので、北森カレッジ入学前は東京のスポーツジムで働いていました。今も趣味は筋トレです。

 だから、デスクワークよりも屋外で働く仕事がしたかった。足寄町も林業が盛んでなじみがあったし、将来のために何か技術を身につけたいと考え、北海道に戻ってカレッジで学ぶことにしました。ただ、卒業して就職してみると、国の補助金申請や市有林伐採業者の入札業務など、書類を作成する内勤の仕事も少なくありません。

 山では市有林の管理が主な仕事。間伐のほか、樹木の直径や高さを測ったり、一定の区域に生えている樹木の密度を調べたりして生育状況を把握します。下草刈りをしてすっきりした林を見ると気持ちよく、充実感もあります。時には学校や林道の倒木を切って取り除く作業にも当たります。

 カレッジ入学前、1期生は高卒者ばかりかと思っていたけど、同年代の人も多かった。いろんな経歴の人たちから経験を聞けたのも楽しい思い出。チェーンソーの使用や重機操作の資格が取れるなど、授業は充実しています。

 林業は昔から危険・汚い・きついの3K職場と言われてきました。でも今では高性能のハーベスター(伐採機)やフォワーダ(集材車両)を使い、山の中で重い荷物を運ぶことはありません。雪山はスノーモービルで移動します。高齢者が多い現場ですが、若者は機械操作にも早く慣れる。若い林業者が新しい働き方を作り上げていくチャンスの時を迎えていると思います。

 仕事も安定し、今年1月に結婚したばかり。スポーツジム勤務からカレッジ入学へ踏み出して良かった。仕事に行き詰まり、辞めたいと思っている若者には「今のうちに思い切って新しい仕事に飛び込み、いろいろやってみた方が良い」と言いたい。やりたくない仕事を続けてストレスをためるよりは、挑戦した方が良いと思います。

<取材後記> 4月下旬、森の中の現場で鎌田さんと川島さんの2人を取材した日は、いずれも晴れて過ごしやすく、新緑の香りが心地よかった。だが、彼らの作業は冬の厳寒、夏の暑さの中でも行われる。蜂も大敵だという。北海道の豊かな森を守り育て、将来に引き継ぐ使命感が欠かせない仕事だ。(福)

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